第12章 喧嘩編
副長の復帰そして退の帰還によって
なんとか平穏をもたらした真選組。
けど、俺はまだスッキリしていなかった。
隊士が少ないのに無理言って休暇をもらい
ある場所へ向かう。
「…小太郎?」
屋根からこっそり忍び込み、
小太郎の自室へと入る。
「…誰だ!!」
部屋に一人でいた小太郎は刀を抜き、
俺の方へ向く。
流石戦乱の貴公子。
俺の居場所、バレてる。
ストンと床に降りると、小太郎は刀を下ろした
「…………なんだ、貴様か。澪。
驚かせるな。」
小太郎が刀を鞘に収める時、着物の合間から
肩に巻かれた包帯を俺は見逃さなかった。
「…で、何の用だ。まさか犬小屋から
俺の家に転職する気になったのか?」
「…残念だけどその予定は今のところないよ」
「チッ…そうか。犬小屋を高杉の刺客が
食い荒らしたと聞いたのでな。
もう見切りをつけたかと思ったのだが。」
やはりあのような大騒動、
情報がまわってないわけがないか。
小太郎は腕を組んで座布団の上に座る。
俺も促されるままに小太郎の向かいに
置かれた座布団の上に座った。
「…………その、高杉の刺客の事で
聞きたいことがあってきた。」
俺の真剣な目付きに小太郎も一瞬黙る。
「……………………、言ってみろ。」
小太郎にそう言われ、決心がつく。
俺は薬を盛られた時、
伊東から聞いた話をすべて話した。
「それで…その話は本当なのか気になった。
俺を小太郎と銀時が守ってる、
だから俺は何も知らず生きてこれたって…。
それに小太郎が怪我をしたっていうのも
気になった。だから来た。」
「……………………………………。」
俺が知ってることは洗いざらい話した。
でも小太郎は黙ったままだ。
「その肩の傷は刺客にやられたもの?」
「……………これはッ、……………。」
小太郎は思わず肩を抑えて反論しようとするが
また黙った。
「………否定しないんだ。」
俺がそう言うと小太郎は
諦めたようにため息をついた。