第11章 真選組動乱編(原作沿い)
「あ、おはよう、澪!久しぶり。」
「退、おはよー。2週間ぶりくらいかな?」
密偵から2週間ぶりに屯所に帰ってきた。
今回は天人が転生郷を売りさばいているという
噂があったのだが、とりあえず
薬には手を出していないみたいだった。
…ま、裏金はあったんだけど。
そんな小さなことを気にしてたら
天人共の監視なんてやってられない。
「山崎君と…神崎君、かな?おはよう。」
退と久しぶりに楽しく話していると、
後ろから声をかけられる。
「…あ!伊東さん。おはようございます。」
退が軽く会釈するのを見て
俺も頭を下げる。
「えっと…おはようございマス…。」
誰だこの人…。
大分真選組の人の名前は把握してきた
つもりだったのに
ここに来てまた新しい人が来たな…。
しかも退が敬語って事はお偉いさんなのか?
俺がチラチラ伊東さん?を見ながら言うと
相手はメガネを上げて、笑った。
「……フッ。神崎君、
君は初めまして、だろう?」
「……そうですね。」
俺の考えを汲み取ったかのような言い方が
少しムズムズする。
「ああ、自己紹介はいいよ。
噂には聞いてるからね。
…元攘夷志士だそうじゃないか。」
「えぇ………はい。」
ここでその話を蒸し返すか…。
あんまり真選組ではその話
したくないんだけどなぁ。
「君の元仲間が、君の事を
探しているかもしれないね。
再び…攘夷に加担するために、とか。」
含み笑いをしながら言う姿は物凄く不気味だが
そんなこと全く身に覚えがない。
晋助はあの一件から1度も会っていないし
小太郎も俺の所より犬小屋の方が安全だとか
なんとかで勧誘は無くなった。
「あの…お言葉ですが、仰っていることが
よく分かりません。」
俺がそう言うと、伊東さんはニヤリと笑った。
「そうか。君は知らないんだね……ククッ。」
そのまま笑いながら俺達の前を去っていく。