第1章 境界上にて邂逅す
――それでは、わたしは誰だろう。
、わたしと他の境界は、何だったのか?
不安はどす黒い蛇となって心臓を冷やした。逆に漆黒の中で冷え切っていた体温が、沸点に到達する。
――駄目だ、此処にいては、
浮上しなくては。
だって、まだ会ってさえいないのに。
――誰に?
それは知らない。知らないけど、知っている。先程から声がしているのだ。
声のする方から光が差していた。
あの光に辿り着けば。
――辿り着いて、何が待っているのだろう? それは知る由も無い事。
光が、やがて指し示すだろう。