第8章 少女の純情禄
死神の仕事は、
死期の近い人間の観察、及びその魂をあの世へ連れていく橋渡し役
業務の初めに、自身のメールボックスに死期の迫った人のファイルが入れられていて、、それをチェックをする。
それから、人間界に降り立って、ターゲットを見つける。
当たり前だけれど、みんな死因には様々なものがある。
一番多いのは病気。
その後に、事故、寿命、その他自殺など・・・本当に様々な理由の人々がいる。
勿論、彼らの生前を全く知らない。
どんな性格で、どんな人生を歩いてきたのか・・・
ただ・・・彼だけは知っていた。
彼・・・及川 徹の名前のファイルを手に取った時に、幼い頃の記憶が突然蘇った・・・・・・
一つ年上の彼は、優しくて明るくて、気づけばいつも遊びに入れてくれていた。
大好きだった。
大好きなまま、彼とは小学校に上がる時に離れ離れになってしまったから・・・
彼の死期が迫っているという事に、酷く心が痛んだ。
せめて、まだ元気に生きている彼を一目でいいから見たいという気持ちから、リオはあの日、あの電車へ乗り込んだ。
10年以上も会っていなかった彼は、とても素敵な男の人になっていた。
何ていうんだろう。
整っているけれど、優しそうな顔立ち。
スカイブルーのマフラーを巻いて、まぁ、言わせてみれば、
結構、タイプだったりした。
疲れているのか、イヤフォンを耳につけて目を閉じている彼の前の席に座り、彼の姿を堪能する。
大きなリュック、
スポーツ・・・してるのかな?
そんな感じの服装
体つきも良さそうだし・・・男らしい。
モテるんだろうなぁ・・・なんて頬杖をつきながら彼を見つめ続けた。
懐かしいな、話したいな・・・
叶わないだろうな・・・
そうわかっていつつも、無意識に、言葉にした・・・
「どんな歌を聞いているの・・・?」
それに応えるように、目を覚ますあなた・・・
この時から、私の中で何かが芽生えていたーーー・・・