第6章 0の付く時計
「一ヶ月ぶり、かな?徹くん」
「ほんとに・・・リオだよね?」
「私以外に誰が私の振りするのよ」
黒いパンプスを響かせて歩み寄ってくるリオ。
いつものように、向かいの席に座って、足を組む。
「あ、できる子がいた」
ぽんっ、と手を合わせる。
「妹・・・・・・ミオなら、なんの違和感も無く私になれるわ」
ミオ・・・
彼女の、双子の妹・・・
彼女が言ったことが真実かを・・・・・・
確かめなければ・・・・・・・・・
すると、"彼女"から口を開いた。
「聞いちゃったんだよね、あの子から・・・」
「え・・・・・・?」
「私が・・・もう死んじゃってるってこと」
どこか寂しげに、しかしはっきりと告げるリオ・・・
あぁ、本当に・・・
そうだったんだ・・・
及川は、ただ、頷く事しかできなかった。
こんなに生き生きと、今目の前にいる彼女が・・・
この世に生きていない存在だなんて・・・・・・・・・
「ごめんね、ずっと、言わなくて」
申し訳無さそうに、目を伏せるリオ。
「いや・・・俺も・・・ごめん」
「何で徹くんが謝んの」
クスリと困ったように笑うリオ。
「全然気づかなくて・・・普通に、ちゃんと、見えてるし、話も出来てたから」
「そう。私もそれについてはすっっっごく、びっくりしたよ?」
「え?」
「初めてここで会った時、私、徹くんが私のこと見えてないって思ってめちゃくちゃガン見してたんだ」
「確かに、めっちゃ見てたよね、俺のこと」
初めてここであった日のことを思い出す。
「あの時、どんな曲聴いてんのって、もしかして聞いた?」
「うん、それも、聞こえないだろうなって思って聞いたんだ」
でも、まさか徹くんが視える人だなんて思わなかった・・・と言うリオ。