第6章 0の付く時計
その日、及川は終電まで待ち続けた。
彼女・・・リオから、真実を聞くために。
真夜中の駅のホームで、まだ少し肌寒い春の夜風を受けながら、及川は考えた。
リオの双子である妹の、ミオ。
彼女が嘘を付いているようには見えなかった。
それに、リオは、いつも話す時は自分と向かい合うように座る。
まるで触れられないように。
そしてドライブに行った際にも、絶対に触れないことを釘指してきた。
だとすると本当に・・・・・・
ミオの言っていた事が本当であるかのように、バラバラのパズルのピースが繋がりあっていく様だった。
(リオ・・・・・・)
真実を知る・・・しかし、それ以前に、及川は彼女に会いたくて、たまらなかった。
最後に見た彼女の顔は辛そうだった。
笑顔の似合う彼女が、唯一見せた暗い顔・・・
抱きしめたくて・・・たまらなかった。