第5章 春の少女
あのドライブした日から、
リオとは、ぱったり会えなくなった。
何度か終電で帰ることがあり、いるかな、いるかな、と他の車両もちらりと見やったが、彼女と会えることは無かった。
今まで、こんな事は1度も無かった。
やっぱりあの雨上がりのドライブの日、彼女の心に何か変化があったんだろうか・・・
(もう、会えないのかな・・・)
行き場のない想いが及川の胸の中をぐるぐると渦巻いている。
それから、一ヶ月経った、春先での出来事・・・ーーー
長い春休みが終わり、及川は学年が一つ上がり、四年生となった。
気温は徐々に春らしく暖かくなってきたが、夜は寒い。
まだ、マフラーを巻きたい気持ちはあったが周りの服装に合わせて、外した。
学校では知らない、見慣れない生徒が増え(多分新入生)賑やかになってきた。
みんな、これからここで色んな人と出会う。
県内から県外まで、様々な目的を持ってここに来た人達が集まり、中には恋に発展する事もあるんだろう。
どの子も、少し浮き足立って、きらきらと、楽しそうで・・・
無意識に、及川はすれ違う人達の中に、居るはずのないリオの姿を探していた。
今日も、こうしてゼミの授業を受けながら、窓越しに、キャンパス内を行き交う人々の中に、彼女を探した・・・
綺麗な黒髪、大きな瞳の少女を・・・・・・ーーー
「え・・・?」
そう、居るはずがない、
そう思っていたのに・・・
その少女は、いたのだーーー