第21章 エピローグ
この世に、こんなに幸せな事があるのだと、初めて知った。
生きていないとわからなかった幸せ・・・
その幸せを、愛しい人が・・・ミオが、叶えてくれた。
「ミオ・・・ありがとう。本当に、ありがとうっ」
この幸せに出会わせてくれて、
自分を愛してくれて・・・
「私一人が、叶えたんじゃないよ・・・」
「え?」
及川の頬に、キスをし、ミオは我が子に目を向けた。
「見て・・・・・・」
赤ん坊の小さな左手をとり、握られたそれを、ゆっくりと開いていく。
「・・・・・・っ・・・!」
その産まれたばかりの小さな掌に・・・
それはあった。
"これ・・・、貰っていくね・・・"
オレンジ色のビーズ。
あの時、"彼女"が持っていったものだった・・・
「・・・・・・っ・・・!!」
「あの子も一緒に、叶えてくれたんだよ・・・っ、徹くん・・・」
思い出されたのは、最期に交わした約束・・・