第21章 エピローグ
無気力でいて無気力ではない、ちゃんと人を気遣える国見に、及川は心から感謝した。
「国見ちゃん・・・ほんとありがとね、色々・・・」
学生時代から、何かと自分たちを気にかけてくれた優しい後輩。
そんな彼は、及川の言葉に、無造作に頭をかいた。
彼のその左の薬指にも、銀色に輝く輪がはまっている。
「彼女ちゃんとも、ゴールインできたみたいだし、結婚式呼んでね」
「お願いします。ミオに勝るくらいからかいがいがあるんで、構ってやってください」
そうして自身のパートナーを思い浮かべる国見の眼差しは、愛に溢れていて、及川も、早くこの手に彼女を抱きしめたいと思った。
「さ。着くまで寝てて下さい。ここ抜けたらスピード上げます」
「ちょっとぉぉぉぉ!産まれたって!産まれたってば、国見ちゃんんんん!!」
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