第20章 Dearest
転生すること・・・
それは、リオが死神になってから一番願っていたことだ。
死神の上司になる事は容易いが、生まれ変わるには倍の仕事をこなさなければならない。
その大変さをわかっていながら、リオは今日まで死神の仕事を全うしてきたはず・・・
及川が一番、わかってあげていた。
それを、放り投げて・・・リオは禁忌を犯そうとしている・・・
「だめだろ、そんなの・・・っ。リオは来世のために、今までがんばって来たんじゃんか!」
自分が一番知っている。
優しくて、美人で、泣き虫で、妹思いで、歌うことが大好きなリオが、一番望んでいたのは・・・
来世に再び生きること。
「それを、今、投げ出しちゃうのかよ・・・っ」
「そうだよっ、消えるなんて言わないで、リオ!」
ミオがリオに抱きつく。
「やっと・・・っ、やっとこうして会えたのに・・・!私が生きて、リオが消えちゃうなんて、そんなのもう嫌!」
あの時、届かなかった手・・・
今、やっと届く距離にいるのに・・・っ
泣きじゃくるミオに、リオは優しく微笑みかけた。
「2人とも、ありがとう。だけどね、聞いて。このままだと、どの道私達は・・・離れ離れになってしまう」
ミオは少しだけ、体を離し、泣き濡れた瞳でリオを見つめる。
「元々、徹くんが死んでしまっていても、徹くんは天国に、ミオは現世に、私は来世に・・・誰も、同じ場所を歩くことはできなかった・・・だけど」
そっと、リオはミオの涙を拭うように頬に触れる。
底知れぬ愛しさがこみ上げてきて、リオの頬にも、涙が伝う・・・
「大切な人のために・・・身を呈して守ったミオを見て思ったの。私も・・・私の大切な人たちのために・・・できることをしたいって」
人や死神なんて関係ない・・・
大切な人を想う気持ちは、何ものにもかえることはできない・・・。
リオは、ミオと、及川の手を取り・・・
二人のそれを、繋ぎ合わせた・・・ーーー