第20章 Dearest
「徹くん、それ以上やると、ミオ潰れちゃう」
「あ、ごめん・・・」
慌ててミオを解放する。
ミオは大きな瞳で及川を見上げ、カァっと頬を染めた。
「間に合って良かった・・・」
ほっと胸をなで下ろすようにリオは呟いた。
及川とミオ、2人の視線はリオに注がれる。
「一体どうなってんの、これ・・・」
目の前には、ミオ・・・
なのに、その傍らには未だに目を覚まさないミオの体がある。
リオとそっくりのミオがいるのは違和感ないが、流石に本人が二人いるのは・・・
「そこで眠っているのは、ミオ自身の器よ。こっちのミオはその、魂だけ」
「じゃあ、あの時、ミオは・・・」
目の前に器に入らず少女の魂があるという事は、
あの時、降ってくる照明から及川を庇った時に・・・
「ミオは、亡くなった・・・ことになる。このままだと」
リオの言葉は現実を突きつける。
及川は、ミオの腰に回したままの手に力を込める。
「このまま・・・」
リオがここにいるということは、察するに・・・
「ミオを、リオは連れてくつもり・・・?」
リオは、死神だから。
きっと、そのためにいるのだとわかった。
自分の代わりに亡くなった、ミオの魂を迎えに来たのだと。
「そう」
淡々と、リオは業務的に答えた
しかし、
「だけど、ダメだった」