第6章 その陸〈秀吉ルート/ちょい艶〉
「……はい」
「その時は、この続きをしてやる。覚悟しておけ」
そう言って信長は、から離れ、再び外廻縁へ出た。ゆっくりと上り始めた月を見留、「もう秀吉の御殿へ帰れ」と告げる。
は胸の上で両手をギュッと握りながら、一度だけ信長に頭を下げ、天主から去っていった。
信長は、まだ明るい空に浮かぶ白い月を見つめ、口角をあげる。
「上弦の月。……満月まで、後七日程度か。それまでに答えを見つけ出せるか怪しいが、忠告はしたぞ。秀吉。」
まだ唇に少しだけ残っている、の温もりに触れながら、信長は愉しげに微笑を零した。
「どう転ぶか、結果が楽しみだ」
続く(次ページあとがき)