第5章 その伍〈秀吉ルート/艶有〉
俺は、どこかで期待していたのかもしれない。
の想い人は、自分なんじゃないかって……
けど、に触れる信長様の事を考えると、やっぱり自信はなかった。
今、ここで……
に言われるまで。
「私が、好きなのは……秀吉さんだよ」
潤んだ瞳と、ほんのり赤く染まった頬。そうして、に好きと告げられて、秀吉の中で何かが弾けた。
両手で包み込むように、そっとの滑らかな頬に触れ、愛しさが募っていく。
「……本当に、俺なんかでいいのか?」
「俺なんか、なんて言わないで。……私は、秀吉さんがいいの」
「慰めるなんて口実で、お前を抱いた最低野郎だぞ」
「最低なんかじゃないよ。……私は、秀吉さんに……」
「?」
をじっと見つめて、言葉の続きを待つ。
は瞳を逸らしながら、更に顔を赤くして、ポツリと小さな声で呟いた。
「私、どんな理由だったとしても、秀吉さんに触れてもらえて……嬉しかった、の……」
「……っ!」
の言葉が、秀吉の躰にゾクリと甘く響いた。
そのまま誘われるように、ちゅっと触れるだけの口付けをする。
秀吉はの着物に触れて、襟元を開いていく。
「首、見せてくれ。さっき信長様がつけた、証―――」
「……やっ……見ちゃ、やだ……」
「分かってる。……すぐに、消してやる。上から、俺の証を刻んでやるから……」
「……っ!……ぁ……」