第3章 その参〈織田信長/艶少〉
―――え?
信長の言葉に1番驚いたのは、他でもない、だった。
瞳を大きく見開き、秀吉をじっと見つめる。今自分をその腕に抱いているのは信長なのに、その存在を忘れてしまったかのように、秀吉だけをその瞳に映す。
の反応に、信長は眉根を寄せた。
「……人たらしめ。そういう事か」
「信長様?」
「興が冷めた。さっさとを連れていくがいい。だがな、秀吉。が俺のものである事は、今後も変わらない」
そう強く言われたが、先程まで動揺していた秀吉の瞳は、もう何も迷っていなかった。
を軽く抱き上げ、信長を真っ直ぐに見据える。
そして、隠していた気持ちを、全て言葉に変えた。
「信長様。は最初から、誰のものでもありません。の運命は、自身のものです」
「秀吉さん……」
「それを俺に教えてくれたのは、他でもない信長様です。……俺がまだ、全てに絶望して、自棄になっていた頃……俺に、身分ではなく、俺自身で切り開ける道があると、信長様は教えて下さった。」
「…………」