第2章 その弐〈豊臣秀吉/艶有〉
―――今宵もまた、信長との囲碁勝負で負けてしまった。
の躰に、不本意な熱が内側からじわじわと広がっていく。
けれど、それは信長との戯れだけが原因ではない。
には、分かっているからだ。
これから自分の部屋へ訪れてくるであろう男と、一体何をするのか――……
「」
「……っ!」
名を呼ばれて、はビクリと肩を揺らした。
躊躇いがちに襖へ近付いて、静かに、そっと開ける。
「ど、どうぞ……」
「ああ、ありがとうな」
男は微笑んで部屋の中へと足を踏み入れながら、の耳元で甘く囁く。
「……今夜は自分で弄ってないんだな」
「…っ!」
の顔が一気に真っ赤になった。
部屋にやって来た男の名は秀吉。
安土城の主である織田信長の、右腕とまで呼ばれる忠臣である。
そんな秀吉とは、人には言えない関係であった。
が襖を閉めると、後ろから秀吉に抱きすくめられる。
「ひ、秀吉さん…?」
「ん?」
「……っ!」
「確かめさせてもらうな。……大丈夫だったら、俺は何もせずに退散する。でも、大丈夫じゃなかったら……」
「んっ…!」
「………………っ」