第4章 婆鎌
「鬼婆…消えたくないよな?死にたくないよね?」
婆
「ぐぁああああああ!んぁああああ!!!」
"ヒュン!ヒュン!!ヒュン!!"
消えてしまうと分かり、
釜を振りながら発狂する鬼婆。
「はぁ……まったく、
名前に"婆"がつくんだからもう少し落ち着こう!!?」
"バシッ!!"
クロウは暴れる鬼婆の頭を、腰に仕込んでいた鞭で思いきり打つ。
婆
「ひぇええええええ!!!!」
鬼婆は頭を抱え、床の上でのたうち回る。
「よく聞きな!鬼婆…。
この娘を食べたら本当に死ぬ…
…死ぬくらいならこの娘に鬼婆の存在を認識させ脳裏に焼きつかせ…
少しでも長生きした方が良いんじゃないのか?
まぁ…この娘が死ぬまでの短い間だけかも知れないが…
でももしかして奇跡が起こって…この娘が子を産み鬼婆の事を話したら…
そして子が婆の事を孫に話したら……いや子孫だけじゃない…色々な人間に話したら…向こう数百年は生きていられるかも知れないじゃないか。」
数少なくなった妖怪を死なせたくなくてクロウなりに、
鬼婆に提案してみる。
婆
「…んぁああああ!!あたしゃあ!騙されないよぉおおお!!」
"ヒュン!!ヒュン!!"
フラフラになりながらも、
クロウに釜を振りかざす鬼婆。
「聞く耳…持たずか……」