第4章 婆鎌
「あららっ……
婆ちゃんのせいで、気を失っちゃったじゃん…
怖がる顔…可愛かったからもう少し見たかったのに。」
クロウは婆さんから目を離さずにを抱え直す。
婆
「ゔぉおおおお!!!その娘をよこしなァアアアア!!」
"ヒュンッ!!!"
大きな釜をクロウに振りかざしてきた。
「…おっとっと……危ない、危ない。
婆ちゃん、危ないってば。
どうすんのさ当たったら…」
婆
「娘をよこせぇえええええ!!!!」
"ヒュン!ヒュン!!!"
次々と釜で攻撃してくる婆
(ここは一先ず…外に出るか……)
いつの間にか婆に家の隅へと追い込まれていた。
(はぁ……背後も両脇も壁か……)
1人ならヴァンパイアの能力を使って外へテレポート出来るが、
を抱えては無理だ。
婆
「お前……妖怪の癖に何故に人間の女なぞ守るかァア!!!」
「…やっぱり人間の婆ちゃんなわけないか……鬼婆だね…」
婆
「質問に答えろォオオオ!!!ガキ!!」
「ガキ?……ふふっ…俺がアンタよりガキ??
あはははっ…やっぱり純じゃない妖怪は駄目だねぇ…
力の差も…歳の差も分からないなんてさ…あははっ。おかしいね。」
婆
「なんだと!??」
「アンタは"憎しみ"から産まれた妖怪…
人から忘れられたら消えゆく定め……
それは即ち"純な妖怪"とは言えないってこと。
純な妖怪は…どんなに忘れられてもその姿をこの世に留めていられる。
人の想いから産まれた妖怪…妖怪の股から産まれた妖怪…この違いは非情なまでに大きい…。
…さあ、婆ちゃん…自分の足元…見てごらんよ。」
婆
「んぁ!!?」
鬼婆はクロウに言われるまま足元に視線をおとす。
婆
「ぐぁああああああ!!!」
鬼婆の足が消えかけていた。
それは…この世から消えてしまうという(意)