第6章 仲間
先に歩き出した陽炎さん。
私は直ぐには着いて行かず、
クロウさんに気になる事を聞いてみた。
「クロウさんすみません…
陽炎さんは…その…狼ではなく人面犬ですよね?」
「いや、半分は狼の血が流れているから"狼"だよ?」
つまりミックスということらしいが…
(人面犬と狼のミックス…)
親がどんな出逢いをして、
どう恋に落ちたのかが妙に気になる。
「…そうなんですね……いろいろ凄いですね……」
「…?」
物事をつい深くまで考えてしまう悪い癖があるわたし…
何処かで線引きをしないとずっと考えてしまうので、
こんな奇跡もあるんだと無理やり自分を納得させ、
陽炎さんの後を追う事にした。
「クロウさん、ありがとうございました。
それでは行ってきますね。」
「気をつけるんだよ。行ってらっしゃい。
山の麓にある赤鳥居の側でまってるから。」
「はい。」
手を振って見送る陽炎さんの後方から"あの彼が"走って此方に向かってきているのに気が付いたけれど…
(スコップ2つ…しっかり持ってきてる…)
気付かないふりして陽炎さんの元に向かった。