第15章 姉と妹
マンションを飛び出した私はもちろん手ぶらで
携帯すら持っていなかった
(そりゃそうだ・・・思いつきで出てきたんだもん)
喉が渇いたからと言って喉を潤す飲み物を
買うためのお金も持ち合わせてない
私は商店街をぶらついていた
ふとコンビニを見ると時計は21時を指していた
商店街を抜けた私は結局グルっと回って
マンションの近くの公園に着いた
ベンチに座って公園の遊具を眺める
さすがに遅い時間だけあって誰も遊んでいない
しばらくボーっとしていた
「帰りたくないな・・・・・。」
一言呟いた時だった
「そりゃ、無理な相談だな。」
後ろから突然声がした
慌てて振り向くとハルさんが居た
「は・・ハルさん!?な・・なんでここに!!??」
「誰かさんが帰ってこないから、心配して探しに来たらここにいるのが見えたから・・。」
「・・・・・・。」
「心配するでしょ?こんな時間に女の子が1人で出歩いたら。ちゃんと自覚してる?」
「・・・ごめん・・・なさい。」
「まぁ、謝るって事は自覚してるんでしょ?無事ならいいよ。」
「・・・・うん。」
「で?歩きまわって頭は冷えたか?考え事は落ち着いた?」
「お姉ちゃんは・・・・・私がいないほうがいいんだよ。そしたらこんな事で悩まなくて済むんだもん。」
「それでどうするの?」
「いなくなろうと思う・・・。」
「具体的にどうするの?」
「わからない・・・・・・。」
「いないほうがいいと思ってるのは優季?それとも雅人?るぅ本人?」
「お姉ちゃんが・・・・・そう思ってると思う。一緒に住むとか言ってたけど・・本当は邪魔なんだと思うから。」
「優季がそう言ったの?」
私は無言で首を振った
「じゃあ、俺が今どう思ってるかわかる?」
「わかんない。」
「そうだよな。それは当たり前だよ。本人じゃないんだから。相手の気持なんて本人に聞かないとわからない。優季がるぅの事を、邪魔者扱いだって思ってるなんてるぅの憶測だろ?本人にちゃんと確認しないと。」
「・・・・・。」
「少なくとも・・俺にとってはるぅは邪魔者なんかじゃなくて・・特別だぞ?」
心臓が飛び出すかと思うくらい胸が高鳴った瞬間だった