第2章 真っ直ぐなアイツと歪んだワタシ
「いってきまーす!」
「いってらっしゃーい……」
昨日のモヤモヤした一日が嘘のように、今日は気持ちよすぎる程にいい天気だった。
ペダルがいつもより軽く感じる。
空気も澄み渡っているような気がする。
「今日は元気そうだな!」
「おはよ! ……あっ!!」
校門を過ぎた所で東峰に追いつく。
自転車置き場に行く前に、肝心なことを思い出した。
「東峰!! ちょっと!!」
「ん? どした?」
「ちょっと耳、貸して?」
大きな東峰が膝を曲げ、私は耳元でそっと囁く。
「私も、東峰のそのまっすぐなとこ、前からずっと大好きでした」
耳まで真っ赤にした東峰をその場に残し、スッキリとした気分で自転車置き場へと向かった。
END.