第8章 年下の悩み【R18】
「君がテツロウくん?」
抱き合っている男の方が、俺に問う。
「あ゛?」と言いたい気持ちを押し殺し「そうですけど?」とわりかし笑顔で言えたと思う。
「早川ちゃん、間違ってお酒飲んじゃって、なんか君と間違えてるみたいなんだ?」
「は???」
ミカはその男の胸元にスリスリと、俺にするようにしている。
俺はミカのそばへ行き引き剥がそうとするが、しがみついていて中々剥がれない。
「おーい、お前の彼氏はどこですかー?」
「……んぅー? てつろーの声だー」
ミカの手が少し離れたすきに、後ろからギュッと抱きしめ奪う。
「なんか色々とウチのがすみませんでした」
「いや、こちらこそ未成年なのに悪いことしたからさ」
申し訳なさそうに、だが、どこか嬉しそうに見えた。
「お大事に!」と最後まで余裕の顔をされたのが少々頭に来るが、今はこの寝惚けたお姫様を部屋に運ぶのが先だ。
「しっかり捕まっとけよ?」
「ふぇっ? ひゃっ!」
俺はミカをお姫様抱っこで室内へと戻った。