【テニプリ】a short story.【短編集】
第11章 【海堂】笑顔の裏側で
「うーん、何かな、気になる!だから絶対、勝ってね」
「勿論っス」
「絶対の、絶対、ね」
少し暗くなってしまった私の声色に、優しい薫くんはやはり気付いてくれて。約束だ、と言わんばかりに手をそっと取ってくれた。
表情の変化が薄い君の、あんな悲しくて悔しそうな顔、もう見たくないんだよ。こうして、私の言葉に照れたり笑ったりしている顔を見ていたいの。
好きだよ、の代わりにぎゅっと手を握り返す。あぁ、早く言いたいなぁ。それ以上の強さで握り返されてまた笑ってしまったら、やはり薫くんの顔は少し照れた色を浮かべた。