【テニプリ】a short story.【短編集】
第1章 【千石】片恋ラプソディ
「…キヨって、呼んでくんない?」
やっとの思いで絞り出した声。思いもよらない言葉だったようで、千花ちゃんは赤くなった顔のままきょとん、と表情を変えた。
「…呼んだら、何か変わる?」
「変わったらいいなって思ってるんだよね、俺はさっ」
急に俺の心も声も弾む。今日の運勢は確か一位だったな、彼女はどうだろう?そういえば千花ちゃんの誕生日も知らない。好きな食べ物、動物占い、聞きたいことが山ほど浮かんでくる。でも、まずは――
「キヨ、」
「はーい、千花ちゃん」
所在なさげな君の手を取って、この気持ちを告げて。それから会話を始めよう――そして、明日も明後日も、一緒に帰って下さいって頼むんだ。勿論、南は抜きで!