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妖狐の籠

第1章 狐


千夏は成長するにつれて

より愛らしくなっていった

長い黒髪を1つに高く結う姿は

色気さえも感じてしまう


千夏が15になり

少し離れた高校とやらに行くようになり

なかなか逢えぬ日々


千夏の成長する年齢に合うように

我も『人』に化ける

『狐』が『人』に化けている時は

誰からも視える存在だが

化けてない『狐』の時は妖怪しか視えぬ


『狐』の姿といっても

それは『人』の姿に近く

黄金色の髪に大きな六つの尻尾

そして、耳が上に生えている

肌の色は白く目元にある朱色を強調させる



千夏と出逢ったあの日のような夜

辺りは鬱蒼としているが月だけが明るい

祠にいてもつまらぬとて

山の中へ散歩に出かける

ちと魔力を使い

手から灯を生み出し

独り暗き山を歩く


千夏が隣にいれば

それだけで我の心は満たされるというのに…


そう願った刹那、


「…はく…、狐珀ー! 狐珀いないのー?」


待ち焦がれていた千夏の声

しかし、なぜこんな刻に?

千夏独りだとあまりにも危険すぎる

急いで千夏の声が聞える方へ行く
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