第2章 始まりの音
「お疲れ様でした!!!!」
無事に問題無く終わったコンサート。
16時から始まり19時前に終わって、身体を心地よい疲労感が襲う。
何度経験してもこの高揚感は堪らない。
普段の自分から想像も出来ないくらい上がるテンション。
この仕事をしていて一番好きな時間。
仲間やスタットとお疲れと互いに労いながら戻った控え室。
椅子に座り顔に冷えたタオルを乗せる。
ドクドクと急く心臓は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。
暫くして着ていた衣装を私服に着替えて会場から少し離れた場所にある宿泊しているホテルへと移動した。
ホテルの最上階、部屋の窓から街を見渡していると目に留まる一際明るい場所。
「あれ?・・・ああ今日が本番?なんだったけか」
不意に思い出したのは昨日出会った女の子の事。
まるでおもちゃ箱のようなその子は見ていて飽きなかった。
思い出すだけでまた自然と笑ってしまう。
「・・・りんご飴食いたくなったな」
明日の朝になればこの地から離れて東京へと戻る。
だからだろうか、何となくその味をもう一度味わいたくなった。
何時もなら適当にゴロゴロして風呂に入ってそのまま気づくと寝てるパターンなのに今日は疲れてはいるけど眠くはない。
テーブルの上に置いていた帽子と眼鏡をかけて部屋から出る。
部屋の鍵をかけていると丁度同じタイミング出てくる人物が一人。
「あれ?リーダー珍しいじゃん、どっか行くの?」
「ん?ああ、何か祭でもって思って」
「マジで!?リーダーが一人で祭とかレアだね」
「そ?」
「なんかあった?」
「んにゃ特には」
「そう?まあ気をつけてね」
未だに不思議そうにこちらを見ている松本に軽く手を上げて到着したエレベーターに乗り込んだ。
ロビーに到着してそのまままったりと歩いて会場へと向かった。
ホテルから歩いて数十分で辿り着いた祭会場。
コンサート以上に人の集まるそこを見た瞬間に一気に面倒な気分になった。
「人多すぎだし・・・・・」
りんご飴の為だけに祭に来てみたはいいが、この人の波を見れば一気にテンションは駄々下がりである。
さっきと目的のものと簡単な食べる物でも買って帰ろうと会場内へと足を進めた。