第1章 プロローグ
視線が合いお互いに動きを止める。
何となく気まずい雰囲気に身動きが取れない。
見ず知らずの男の人なんて無視すればいいんだけど、合ってしまった視線が逸らせなくて本気で困っていると聞こえてきたお腹が鳴る音。
周囲の賑やかな音がするなかでそれなりに離れた距離なのに聞こえたと言う事は今のは結構大きな音だったのだろうと驚くより関心してしまう。
空腹なのだろうか、鳴らした本人は気まずそうにそこで初めて合っていた視線を逸らして下を見る。
「恥ずッ・・・・」
そう言った男の人が何だか可愛く見えて思わず噴出す。
すると下を見ていた男の人はバッと顔を上げて小さな声で『そんな笑うなよ』と恥ずかしそうに言うものだから余計に笑いが止まらなかった。
知らない人とか男の人だとか不安は無くなっていて思わず横に置いていたりんご飴を男の人へと差し出す。
「良かったらどうぞ」
「え?」
「そこでさっき買ってきた物だから大丈夫だと思いますが、嫌でなければどうぞ」
「あー・・・けど、誰かの分なんじゃないの?」
「いえ、家に帰って食べるように買ったものだから後でまた帰る前に買えばいいし、むしろ今買っちゃって早かったかな?とか思ってたので、逆に貰ってもらえると助かります」
「・・・・・じゃあ、遠慮なく。コレいくらだった?」
近寄ってきた男の人はそっと差し出したりんご飴を受け取ってくれた。
その手が当然だけど女の子の手と違い大きくてジッと見てしまった。
「あっえっと、400円です」
「400円ね・・・・うわっ・・・ごめん・・・財布マネージャーに預け、あっ!・・・その、今持ってないから、やっぱり返すわ」
「??なんだかよくわからないですけど、いいですよあげます」
「マジで?」
「はい、お兄さんお腹空いてるみたいだし、さっき笑っちゃったお詫びにどうぞ」
「・・・・・いいの?」
「ぜひぜひ」
「じゃあ・・・・どうもね」
そう言って受け取ったりんご飴の袋を外してガブリと被りつく姿も何となく絵になっていた。
細くてだけどしっかりとした体つきの男の人は何をやっても絵になるなぁなんて思いながらも自分も食べかけていた飴に齧りつく。
「うまっ」
「ですよね!私、お祭りに来たらコレ絶対食べるし、自分のお土産で持ってかえるんです!」