第3章 君と俺 貴方と私
『はああああ!?他に彼女がいただぁあああああ!?』
「うわっ!?声大きいよ」
ずっと彼の事を相談してたのに、あのお祭以降そう言った話がない為、心配した真紀ちゃんが電話してきたのは、お祭から一週間がたった今日だった。
話を聞くなりそう怒鳴った幼少時代からの付き合いである本田真紀ちゃんは大親友。
『最低、ちょっと優美、アイツ私が殺(や)っとく?』
「ええええ!?ダメダメ!」
『・・・まぁ、半分冗談は置いといて、そっかぁ・・・大丈夫?』
心配そうに聞かれて苦笑する。
確かにショックで沢山泣いた。
だけど、励ましてくれた人がいた。
その人のお陰で何とか前を向けている。
「大丈夫!!」
『・・・なんかあったら何時でもいいなよ?』
「うん、ありがとう真紀ちゃん」
そう言って切れた電話。
ベットの上でゴロッと横になる。
初恋は実らない、だけど自分は違う、そう思っていた。
でも、現実はジンクス通り。
思い出すだけで、考えるだけで、まだ辛い。
夏休み中で本当に良かったと思う。
手にしていた携帯をテーブルの上に置こうとするとメールを受信した事を知らせる音楽が鳴る。
「あ、お兄さんからだ」
お祭で知り合った不思議な男の人。
名前は大野智と言って現在三十代だと言う。
正確な年齢が気になる前に、とても三十代に見えない事で話が大きく広がりそのままになってしまった。
何と言うがマイペースな食いしん坊さんと言うのが自分の中での彼の印象である。
優しい人なんだと思った。
まるで自分の事のように辛そうに言ってくれた言葉が今でも頭の中に残る。
『そのままでいい』
その言葉にどれだけ救われたかわからない。
あの日、突然申し込まれたアドレス交換。
名前も知らない男なのに、自然と良いですよと承諾してしまったのはきっとあの真っ直ぐに目を見たからだ。
何となくだけど、悪い人ではないと思った。
そして、あの時の勘は外れてはいないと思う。
【この間写メでくれたパンが食いたい】
「何時のだろう?」
思ったまま感じたままのメールが時より届く。
その度に笑えて辛さが紛らわされる。
名前以外詳しい事は何も知らない人。
だけど、それで別に問題がないからいいと思った。