戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第53章 貴方と私を繋ぐもの ―佐助ノ君&八ノ宮大君―<R18>
「大君…舞さん、ただいま」
光源氏の晩年の息子である薫君こと佐助は、正室として迎えた大君こと舞の姿を探す。
「ここにおります…」
仕切った几帳のひとつからいざってきた舞の姿を見ると、佐助は舞を抱き締める。
「ああ、きみは本当に抱き心地が良いな」
顔を舞の肩に乗せ、焚きしめた香を聞く佐助は言う。
「この侍従の香…舞さんはいつも少し丁子(ちょうじ)を多めにして香合しているね。俺の好きな香りだ…」
「さすが薫君…佐助くんね。調香まで当ててしまうのだから」
「舞さんの事は何でも知っておきたいからね」
抱き締めていた腕を解いて顔を見合わせ舞は言う。
「お食事はもうなさったの?運ばせましょうか?」
佐助は「あぁ」と気付き「いや」と答える。
「寝殿に戻って着替えもしてこよう。また後でこちらに来るよ」
「わかりました、お待ちしてますね」
この時代、ものを食べているところを見せるのははしたない行為とされているため、佐助が自室へ戻って食事を摂るのは当然だった。
軽く口付けをすると佐助は立ち上がり、几帳を引き上げ寝殿へ戻って行った。