戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第50章 恋は秘密が似合う ―家康中将&朧月夜―<R18>
「…そんなでもなかったと思うけど…からだ、つらい?」
家康に言葉を掛けられ、舞も家康にこころもち寄り添う。
「いいえ、大丈夫です…家康様、抱き締めてくださる?」
上目遣いで見る舞の表情に、家康は焦ったような表情を見せる。
「っつ…」と一瞬唇を噛んだと思うと、家康は力を込めて舞を抱き寄せた。
「あぁっ、もうっ。だからあんたは、どうしてそういう事を平気で言うかな…っ」
抱き締めながら家康は呆れたように言い、舞は意味がわからず家康を見上げようとするものの、抱き締められて顔を見る事が出来なかった。
「ほんと、あんたって…」
途端、褥に背中を押しつけられ、舞は何だろうと目を丸くする。
「どうして、そんなに可愛いの」
家康の顔が近付いてきて二人は口付け、家康の手はそのまま舞のからだを上から下へと動かせる部分まで撫で回してきて、舞は甘い声をあげる。
もう一度二人で甘い世界へ入り込もうとすると、家康から突然問われる。
「…ねぇ、兄上のところに入内するんでしょ、俺との事、どうするの?」
「…東宮へは大臣家に産まれたおんなには仕方ないもの…宿さがりしたら会えない?」
東宮への入内は仕方ないこと、とばっさり言い切り家康と会いたいと言う舞に、家康は大胆なその性格をむしろ好もしく思い、そして帝位につけない自分が、将来帝位につく東宮へ、嫌がらせをしていると認識する。
「舞…また会おうね」
舞にはただ二人が愛し合っていると思わせる家康の真意は、誰にもわからない。
恋は秘密。
ふたりの秘密の恋。
いつか知られて、大きな政変となるにも関わらず。
<終>