戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第35章 とりかえばやものがたり ― 番外編 ―<R18>
そして自分のものを抜いて、気付く。
四の君は、男を知らなかったという事に。
…どういう事だ?幸村(つまり舞)は四の君を抱いていないのか…?
「天女…貴女は男をまだ知らなかったのか…」
信玄の問いに四の君は声を震わせて突っ伏す。
「早くお帰りください…私の事は放っておいて…」
信玄は、幸村と四の君の夫婦仲が悪いという噂は無く、むしろ仲が良いとしか耳にしていなかったので、どうした事かと内心驚きつつも四の君をなだめ、声を掛ける。
「あの世の三途の川を女人が渡る時、現世で初めて契った男に背負われて渡るという言い伝えがあるんだ。貴女は俺が背負って渡る、こういう運命だったと思って欲しい」
四の君は自分が浅ましい者になってしまったように思え、ただ泣くばかりだった。
そのうち夜が明けてきて、信玄は仕方なく帰ってゆく。
「天女と俺の契りはもう永遠のものだよ。また来るから」
入れ替わりに幸村こと舞が宿直から戻ってき、具合が悪いと伏す四の君の事を聞き、「どう具合が悪いの?祈祷はまだ頼んでないのだね」と優しく接し、祈祷の手配をしながら伏したままの四の君の背中を優しく撫でる。
四の君は、舞にはとても言えない恐ろしく恥ずかしい事になってしまったと怯え、舞の顔を見る事なぞ出来ずにただ静かに涙を流すだけだった。
数日そうして看病に過ごした舞だが、さすがに公務を休めずにまだ具合の悪い四の君を残して出仕する事となった。
「貴女が心配ですが、これ以上休めず出仕します。元気を出して少し起きてくれると良いのだけど」