第16章 君と俺は共に生きている 財前光
姉「あの子、今日の朝...学校に行く前に倒れちゃってね
...診察を受けたら、脳腫瘍って事が分かったの」
センパイのお姉さんは悲しそうにそう言った。
光「大丈夫です。きっと、センパイは元気になります」
俺がそう言うと、センパイのお姉さんは微笑みを浮かべて「ありがとう」と言った。
そして、その日はもう遅いからと俺はもう帰った。
その日からセンパイは、学校に来なくなった。
病院に行こうとしても、センパイに「来ないで」と言われてしまい、何日もセンパイに会っとらん。
今日で何日目やろうか?
俺は授業を聞き流しながらセンパイのことを考える。
そしてまた、数日後。
センパイの手術日が決まった、とセンパイのお姉さんから連絡が来た。
でも、センパイには「来ないで。」と言われているので行けへん。
手術日当日。
その日はある日と同じで、部活が休みだった。
センパイのことを考え、空を見ながら歩いていた。
その時、俺の携帯が鳴った。
《もしもし?財前くん?
今すぐ病院に来てくれる?!》
光「えっ、でも...」
《来れるんやったら、今すぐ来てほしいんや!!》
センパイのお姉さんは、電話越しにでもわかるぐらい物凄く焦ったように話した。
光「わかったッスわ。今いきます」
俺は最初、センパイに「来ないで。」と言われたのを思いだし迷ったが、センパイのお姉さんの声を聞いて、そんな考えは吹っ飛んだ。
俺は急いで病院へ向かった。
センパイの病室へ行くと、センパイの周りにある器具が音を鳴らし、医師や看護師はバタバタしとるし、俺は何が起きとるのかよく分からんかった。
俺との両親、お姉さんは病室の外に出された。
──そして、暫くして
医師はこう言った──
Dr.「すみませんが、娘さんは...もう...」
俺は目眩がした。
俺の周りが歪んでいるように見え、
頭がガンガンと痛くなり、
温かい水滴が俺の頬を伝った。