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テニプリ 短編小説 ~夢の扉 ~

第8章 僕はただ君の手を握って、君は静に涙を流す 白石蔵ノ介



部員『ありがとーございました~』

いつもと変わらず、学校で授業が終わり、部活が終わり、そして俺は途中まで帰路が一緒の謙也と帰る。

謙也「~~でな、俺のイグアナちゃんがな~で、~~なんやで!」

白石「へぇ~、そりゃよかったなぁ
あ、俺コッチやから、また明日な。謙也」

謙也「おん!じゃー、また明日な!」

謙也は、いつものように「浪花のスピードスターっちゅー話やァァァア」と叫びながら、家へ帰って行く。

そして、俺はいつものように呆れ顔で、謙也の背中が見えなくなるまで見つめる。
.....せやかて、あいつ、以外とおっちょこちょいやから(苦笑

いつもの、鳥が止まっている電柱。

いつもの、ポチがおる佐藤さんの家。

いつもの、子供がおらん公園。
(ま、俺らが帰る頃にはもう、真っ暗やから当たり前なんやけどな笑)

.....ん?
誰か、おる。珍しいな

俺より小さめの.....いや、同い年か?
の、女の子が俯いてブランコに乗っている。

.....話しかけた方が、エエんやろか?
いや、でも好きで乗っているのかも。
いやいやいや、それはないな。
せやかて、いつも、この時間帯は誰もおらへんもん。
.....話しかけてみるか。

俺は意を決めて、彼女に近付く。
一歩、また一歩。

白石「おーい、大丈夫か~?
もう、だいぶ暗いで?こんなところにおったら、オカン心配するでー?」

俺がそう、話しかけると女の子は、ゆっくりと顔をあげた。

その顔には見覚えがあった。
そう、俺の幼馴染みのだった。

けれど、あのいつもの笑顔で『蔵~!』と名前を呼んではくれない。

いつもとは、真逆で、頬にキラキラとした雫を流しながら、少し鼻にかかった声で『蔵.....』と、俺の名前を呼んだ。

白石「?どうしたん?
なんかあったんか.....?」

そう聞くと、は、また俯く。

暫くすれば、は、口を開き、こう言った。

『フラレたの。.....好きだった人に。』

フラ、レた?
.....には、好きな人がおったんか?
全然気付かへんかった.....
ずっと一緒におったんに。
自分よりも、絶対を優先してきたのに。
.....けれど、今。この気持ちをぶつけたら、コイツは、頭グルグルになっちゃかもな
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