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心のキャンバス

第5章 お気に入りの場所


私達は、ある程度片して部屋を出た。
もちろん、先輩から貰った絵を忘れずに。

「そんな大事にしなくていいのに。」
「何を言ってるんですか!
 どんな絵だろうと、大事に扱わないと!」
「すみません…。」

『絵や物に関しては口うるさい奴だな。』

何やら不満そうに、ボソッと先輩が
何かを呟いたけれど、気にしない。

職員室に鍵を返して、帰ろうとすると
先輩に止められた。

「どうかしました?」
「ちょっと寄り道。」
「寄り道、ですか?」
「そ。」

校舎内で寄り道とは、さすが変人なだけある。
すると、先輩は私の手を取って、
目を閉じるように言った。

「こうした方が、スリルがあるだろう?」
「危険な香りがしますけどね!
 どこに行くんですか?」
「内緒。あ、階段あるから気を付けて。」
「階段?うわっと!」
「あ、ちなみに上り。」
「早く言ってください!」
「君は反応が面白いなー(笑)」
「普通です。」
「はっはっはっ(笑)」

『人の気も知らないで、よく笑う人だ。』

それから登ったり歩いたり下ったり。
普段、目を開けて通っている校舎内だけど、
目を閉じているだけで、
別のところに来たような感覚になる。
それに、随分と長く歩いている気がする。
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