第7章 twinkle
(……はぁ、本当に憂鬱だわ)
立てこもる熱気とやる気と応援にもみくちゃにされながらつばめはこれから自分が跳びまわる床を見つめる。
(どんなに技術があっても惹きつけるような"美しさ"を持ってない無機質な競技になんて誰が期待するものやら)
つばめは競技時間が近づくにつれて憂鬱な分子をより抱え込む。
周りは緊張で鬱を呼び込むのに1人だけ、たった1人だけは憂鬱さで緊張を呼び込む。
「渡さん、ミーティング始めるってー!」
「わかった、すぐ行く」
同級生の呼び掛けにハッと気を正して荷物をまとめて輪に加わる。
(……あの人、名前なんだっけ)
如何せん他人に興味がないのが女の欠点。