第6章 negotiable
合鍵を使って目の前の隔たりを簡単に破り、中へ侵入する。合言葉は「お邪魔します」ではない。これは月島は言わない。
「ただいま!」
「おかえり、忠。急に呼んでごめん」
「いつものことなんだから気にすんのなしだって!」
「それもそうだね。お風呂沸いてるから先に入って」
「わかった」
つばめの信頼の1番は月島ではなく山口。これは3人互いに理解してること。
大会の前日、女は必ず山口を家に呼んで泊まらせる。
大会だけじゃない、何かあるときは必ず。
「ほーん、あの二人従兄弟なんだ」
「ちゃんと血の繋がりもあるんで。お互い恋愛対象にはねならないそうなんで」
「わざわざ教えてくれんのありがたいけどいいワケ?」
「まぁ流石にそのくらいは。さっき山口が言いかけてたのもありますし」