第6章 negotiable
「山口は相変わらずだね」
「え、そうかな?」
「優しい幼馴染みを持ってんなぁ、月島もつばめちゃんも」
「そんなことないですよ。それに俺は幼馴染みって言うより」
窓の外に目をやった月島が山口の言葉を遮った。
「あぁ……そういえば菅原さん」
「ん?」
「これからつばめがうちに来ますよ。きっと」
「おー」
「速やかにお家にお帰りくださいね。じゃなきゃ楽しめることも楽しめないんで」
「は!?」
"楽しむ"の意味はお年頃の高校生男子にはピンと来ないはずもないだろう。
「何言ってんだよお前!」
「じゃあここにでも隠れて見てます?
僕がへんなことしたら止めないとですもんねぇ」
「ははっ、イイご趣味じゃないの……」
インターフォンの音が家中に響く。つまりは男たちの望む小鳥が本当にやってきたということ。
「で、どうします?」
「……わかったわかった、ほら、山口も」
「え? 俺も?」