第1章 Destiny
それからしばらく2人は桜の木のもとで語り合う。
語る、とはいっても思い付いたことをポツポツと言葉にするだけ。
(何だか幸せだな……ああ、このままバレーしてぇ……)
……ん?
菅原はハッとして腕時計に目をやる。
まずい……これは遅刻になる……!
「えーっと……つばめちゃん……!
こんままだと確実に遅刻すんべ! 行こう!」
「あっ」
どう呼んだらいいのかわからず、内心ドキドキしていたがそれどころではない。
一目惚れした相手を学校入学早々遅刻させるわけにはいかない。
(手……あつい。蛍ちゃんは冷たいのに。何でだろう)
一方つばめは遅刻のことなど微塵も考えてなかった。
繋がれた手の温もりをひたすらに感じて走るA.M.8時20分。