第4章 Pet
「そうかな」
「そうだよ」
「こりゃ……月島も手ェ焼きそうだなぁ……」
「そんなことない」
「てかお前! いい加減名乗れよ!」
「ああ」と短く呟き淡々と名乗る。
名前を聞くと「じゃあつばめだな」と呼び捨てにする。気にしていたのは当の本人ではなく菅原だった。
「俺、まだ呼び捨てで呼べてないのに……」
「呼べばいい」
「呼べばいいじゃないスか」
「けどなぁ……」
何やら葛藤があるらしい。さほど気にも留めない二人は声を揃えて「何を気にしてるんだか」と呟く。
案外気の合う二人なのかもしれない。
「つばめ……ちゃん」
「何?」
「いや、そういうことじゃない」
「そう、よくわからない」
二人からしてみればいつも通りの他愛もない会話なのだが西谷からしてみれば驚いたものだ。
「ホントにこんなやつ好きなんですか?」
「うん」
「菅原先輩は面白いね」
「あはは、サンキュ」
ますます理解ができず些か対応に困る流れだったが人当たりのいい彼は何となくそこに溶け込んだ。
そろそろ戻ってこいと室内から声がし、じゃあと戻っていく。
「じゃあまた月曜日ね、菅原先輩。あと……西谷先輩」
彼女が強調したいのは月曜日というとこなのだが西谷にとっては"先輩"が重要だった。