第2章 Necessarily
「蛍ちゃんは」
そんな二人を見てもつばめは表情を変えないまま淡々と話し始める。
名前を呼ばれた男は訝(いぶか)しげに眉を寄せて女を見つめる。
「面白いよね」
「は? バカにしてるの?」
「してないよ。興味深いだけ」
「僕を何だと思ってるの」
「蛍ちゃん」
「あはは、いつも通り……」
そばかすの男は困ったように笑う。
しかし本心は微笑ましく思っているようだ。
三人で"いつも通り"でいると中から誰かやってくる。
「月島と山口! お前ら何しに来たんだ!?」
「やだなぁ、キミに用はないよ日向」
「俺たちはつば子ちゃんに会いに来たの」
「つば子ちゃん……? あ、渡さんのことか!」
「おはよう、日向くん」
「おはよーっ!!」
嗚呼、騒がしい。月島はそう思うしかなかったのだ。