一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】
第7章 pm 10:25
そんなことを考えていると
レトさんがポツリと呟く
「…柚月ちゃん、
この際やから言っとくけど。」
「え?」
と突然手を握られる
レトさんは思い詰めたような表情で私を見つめる
「キヨくんと二人で出かけたのとか、可愛い浴衣着てたの一番に見られへんやったのとか、ほんまはめっちゃ嫌やった。
自業自得やけど…。
そんで…埋め合わせってわけやないけど…
これだけは許してや。」
不意に近付くレトさんの顔
キスされる…?!
反射的に目を瞑り、身構える
チュッ、と乾いた音がなる
レトさんの唇が触れた、私の頰
ゆっくりと離れていくのがわかって目を開けると、真っ赤になったレトさんがいた
「ごめん…なんか、我慢できひんくて…。」
私以上に緊張した表情
まるで自分の行動に驚いているような様子で、視線が彷徨っている
「こんなつもりなかったんやけど…
柚月ちゃんとおると、なんか自分がおかしくなる…。
……あぁぁごめっ、先に部屋戻っとくわ!」
レトさんは焦ったようにいそいそと部屋へ戻ってしまった
一人残された私は、熱くなった頰に手を触れる
レトさんの柔らかい唇の感触が思い出されて、顔が更に火照る
「私、どうしたらいい…?」
収まらない鼓動と熱
夜風が冷やしてくれるのを待って
星空を見上げる
選択を間違えないように
三人が離れ離れにならないように
星に願いをかけて
♢♦︎♢♦︎♢
しばらくして部屋に入るとキヨくんは起きていて、レトさんとテレビを見ながら話をしていた
私は再び大浴場へ
キヨくんは部屋付きの露天風呂を堪能するそう
二度目の温泉から部屋に戻ると、二人は布団の上で気持ち良さそうにゴロゴロしていた
レトさんも湯上りでお酒の入ったキヨくんもまだまだ元気そう
もう少し話したい気持ちもあったけれど、疲れていたし、気を遣ってくれたのもあって、先に眠ることにした
一人になると急に眠気が襲ってきて、ベッドに横になる
今日一日、本当に色んなことがあったな…
思い返すとまた高鳴る心臓
落ち着かせるように胸に手を当て、目を閉じる
障子の向こうから聞こえる二人の声が遠のいていくのを感じながら、私は眠りに就いた