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一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】

第7章 pm 10:25


鼓動が一気に加速する
同時に上がる熱

一瞬で思い出されるつい数時間前のこと

ごまかそうにも、すでに遅く、焦る仕草が黒だと言っているようなもので

「ふっ…柚月ちゃん、分かり易すぎ。」

「え…えっと…、」

もうわかったから、と笑って応えてくれる

「うーん、一応クギ刺しといたんやけどなぁ。」

レトさんは何かを考えるように、しばらく空を仰ぐと、ふぅっと息を吐く

「キヨくんに好きって言われたん?」

「や…言われてはない、けど…。」

「けど?」

急に放たれた強い口調にビクッと肩が跳ねる
攻められているような気分になり、緊張してしまう

神社でのキヨくんもそうだった
キヨくんはレトさんが
レトさんはキヨくんが絡むと
感情的になるような気がする

「その“けど”は、迷ってるってこと?
…柚月ちゃんが。」

「え…私…?」

「キヨくん、告白まではせえへんかったんやろ。
でもそうなるような雰囲気やった。
で、今後もし告白されたらって考えた時、柚月ちゃんはどうしようか迷ってるんかなって。」

レトさんはどうしてそこまでわかるんだろう

キヨくんと長い付き合いだから…?
私が分かり易いから…?

動揺を隠そうと素知らぬふりをしてみるも

「ふふっ、柚月ちゃん、なんでわかったのって顔してるで。」

あぁダメだ、完全に心を読まれている
レトさんには下手な小細工は通用しない

返答に困っていると、レトさんが少し照れたように笑いかける

「ま、だってそんだけ柚月ちゃんのこと、見てきたから。」

同じ目をしてる
あの時のキヨくんと

真っ直ぐで迷いのない、射抜かれるような強い瞳

目を逸らせずにいると、レトさんからスッと視線を外される

「んー、でも…柚月ちゃんには、もうちょっと迷っててほしいわ。」

「…どういうこと?」

「俺も自信ないから。
キヨくんに勝てる自信。」

そう言って眉尻を下げて苦笑いをしたレトさん

…あぁ、ズルイ…
そういうところがほっとけなくさせる

迷っているのは事実
レトさんもキヨくんも本当に大切な人だから

いつかは選ばないといけない日がくるのかな…
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