一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】
第3章 am 11:06
指定された個室に入ると、間にテーブルを挟んで四人掛けの広々としたボックスシートになっていた
レトさんとキヨくんがまた座る位置で揉めてたみたいだけど、進行方向の窓際に私、隣にレトさん、私の正面にキヨくんが座ることになった
動き出してしばらくすると、この列車の目玉の一つでもある食事が運ばれてきた
フレンチのフルコース…最高に美味しかったデス!!!
その後、三人で展望室で景色を見たり、写真を撮ったり、ゲームをしたり
出発から二時間程過ぎた頃、景色はコンクリートが建ち並ぶ都会から、山や緑が生い茂る自然の風景へと変わっていっていた
ゆっくりとしたスピードで走る列車が心地良くて、ついウトウトとしてくる
ふとキヨくんを見ると、窓に寄り掛かって気持ち良さそうに眠ってしまっていた
「キヨくん、寝ちゃったね。」
「ん?そやね。なんか眠くなってくるよね、この揺れ。」
「うん、私も眠くなってくる。」
「到着まであと一時間くらいあるし、柚月ちゃん寝ててもええよ?」
「レトさんは?」
「俺、携帯でゲームでもしてるから。」
寝てていいよって言われたら逆に目が冴えてくるんですけど…
と思いつつ流れる景色と、幸せそうに寝ているキヨくんを目の前にすると、瞼が重くなってくる
じゃあお言葉に甘えてちょっとだけ、と目を閉じた次の瞬間
ふわっと肩に何かがのしかかる
見るとレトさんが私の肩に頭を預けて眠っている
え、え?レトさん?!
寝てていいと言った側から、自分が寝てるし!
レトさんの左手に握られている携帯はゲームの画面が開いたまま
レトさんもやっぱり眠かったんだね
私に気遣って無理して起きてたのかな
レトさんの頭に自分の頭をくっつけてみる
ふわふわの髪の毛が鼻をくすぐってくるけど、それ以上に体温が伝わって心地良くなる
レトさんあったかいな…
なんか猫みたい…
そうして私はゆっくりと眠りに落ちていった