《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第28章 エピローグ(ノーマルEND)
昼休み終了のベルが鳴った。
ブラック工場の工員たちは、一斉に製造室に戻る。
「社畜のみなさぁ〜ん! さぁ、ミーのために午後も働いて働いて働きまくってチョーよ! これが仕事! これが社会! ああ、素晴らしい!」
イヤミ所長の掛け声に工員たちは作業を再開した。
「相変わらず作業場だけは涼しいよな」
「作業場だけはな」
汗で冷えた身体を震わせ、工員たちはこっそり会話をする。
「そこ! 何を話してるザンス!? 作業に集中するザンスよ!」
イヤミ所長のげきがとんだ。
「「すみません……」」
男たちが慌てて作業に戻る。
イヤミ所長はため息をついた。
今や過去の栄光は跡形もない。
あんなに利益が出ていたブラック工場も、最近の経営は泣かず飛ばず、倒産ギリギリの状態だ。
きっかけは二十年前の殺人事件。
イヤミ所長はいまだにそのときのことを根に持っていた。
「まったく! あれは酷かったザンス! なあなあで済ませればいいものの、あの小娘が事件解決どころか不正まで世間に公表してくれちゃって……いい迷惑だったザンス!」
流れゆくベルトコンベアを眺めて、イヤミ所長は目を細める。
「でも、なかなかおもしろい小娘だったザンスね。まあ、今はもう『小娘』ではないザンスが……」
懐かしい過去に思いを馳せていると、突然うしろから肩を叩かれた。