《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「そろそろ帰ろう……」
私はベンチから立ち上がった。
今日は夜になっても眠れそうにない。
おそ松さんと帰ろうとしたら、神松という記者に声をかけられ、いきなりトド松先輩の手記を渡された。
公園に来てひとりで読んだけど……何だろう、この気持ち。
やりきれない。
トド松先輩は私のことを愛してくれていた。
そして、カラ松さんのことも心から愛していた。
両親と離れた彼にとって、唯一頼れる家族がカラ松さんだったはずだ。
「このままでいいのかな……」
いいも何もどうしようもない。
トド松先輩は、デカパン所長を殺害した。
その事実は変わらない。
『殺人――それはこの世で最も憎むべき犯罪。僕たち刑事は必ず解決しないといけない』
トド松先輩が現場でよく言っていた言葉。
これでよかった。
よかったはず……。
鞄を肩にかけて、顔を上げる。
突然、目の前が真っ暗になった。
「きゃっ!? な、何……!?」
後退って、思わず目を擦る。
一瞬目が見えなくなったような錯覚に陥ったが、違った。
黒い人間が真正面に立っていたのだ。
「あ! もしかして……悪松さん!?」
黒い男はゆっくりと頷く。
「そうだ。いきなり現れて悪かったな。クソみたいだと思ったろう?」
「は、はあ……?」
まさか悪松記者にまた会うとは思っていなかった。
正直あまり関わり合いたくない……。