《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第26章 十四松END〜鑑識さんとわたし〜(※)
「奥様も何かあればすぐにナースコールを押してくださいね。けっこう皆さん遠慮して押すのを我慢しちゃうんですよ。気にせず押していただいていいですから」
看護師さんに声をかけられ、「分かりました」と頷く。
『奥様』って言われちゃった……。
顔が勝手にニヤけてくる。
看護師さんが部屋を出ていくと、十四松さんは楽しそうに笑い出した。
「あー! 危なかったね! もう少しイクの遅かったら見つかってたっす!」
「笑いごとじゃないですよ。退院までは、もうしませんから」
「えー! しないのぉ!? へこみぃ……」
私は十四松さんの手をそっと握った。
「それよりもふたりで住む場所をどうするか話しましょ?」
「いいねー! 退院したら、ゆりちゃんと一緒に家に帰る!」
私たちは退院後の話を始める。
どこに住むか、どんな家がいいか、部屋には何が欲しいか。
「カーテンは黄色にしましょ? 十四松さんみたいな明るいひまわりの色」
「黄色かー! いいね!」
話は尽きない。
ふたりで歩む未来への夢が膨らむ。
「ゆりちゃん、愛してるよー!」
「私も……愛してます」
「ほんとー?」
「ほんとっ!」
これからはふたりで歩いていく。
どんなときもこの手を離さない。
もう危険な目には遭わせない。
私があなたを守る。
あなたがいつも私を守ってくれるように――。
私たちはまだ知らない。
このあと彼を追うように、私も警視庁へ配属になることを。
鑑識官と捜査官――それぞれの道でトップへと上り詰め、野球界の大物と知り合ったのをきっかけに、夫婦でプロ野球チームのオーナーになって華々しく日本の野球を盛り上げていくのはもう少し……いや、かなり先のこと。
そう、それはまた別のおはなし――。
―END―
【予告】
次はトド松END 第27章へ
とうとう最後の松です!
お付き合いいただき、ありがとうございます♪