《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第5章 女王様への黄色い嫉妬(※十四松)
「ゆりちゃん! お疲れ様ー! ブラック工場の鑑識の結果、持ってきたよー!」
十四松さんが笑顔で捜査一課に入って来た。
まるで真夏の向日葵みたい。
十四松さんがいるだけで、パッと咲いたように場が明るくなる。
「お疲れ様です。十四松さん、今日も元気ですね〜」
「甲子園、始まったからねー!」
十四松さんが素振りをする。
「そっかぁ、8月ですもんね」
「うん! 仕事サボって高校野球! マッスルマッスル! ハッスルハッスル!」
「『仕事サボって』は、だめですよ〜」
私が笑うと、十四松さんも豪快に笑った。
肩の力を抜いて話せるから、なんだかホッとする。
十四松さんと初めて会ったのは、まだ赤塚署に正式に配属が決まる前。
鑑識課に研修に行った時だ。
失敗ばかりする私に「大丈夫大丈夫!」と毎回声をかけてくれたのが、十四松さんだった。
「そういえば、ゆりちゃん、洋館の捜査で倒れたって聞いたけど、大丈夫だった? アバラにヒビが入っていたって聞いたけど……?」
十四松さんが心配そうに私を見回す。
「大丈夫です。無理をしなければ、自然に治るって言われました」
「そっかー。ヒビが入るほど強く倒れたの?」
「う〜ん、倒れた時に打ったせいなのか……でも、倒れる前からアバラは痛かったような気もするし……」