《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第23章 カラ松END〜洋館の主人とわたし〜(※)
「それにしてもターゲットはまだ出てきませんね……」
チョロ松警部は牛乳を飲み干し、座り直した。
「長期戦になるかもな。ゆりくん、君はもう帰ったほうがいい。今日は午後休の予定だっただろう? あとは、僕が張り込みを続ける」
「そんな! 私も残ります!」
チョロ松警部は首を振った。
「もし、明日何かあったら、僕はみんなから責められる。『部下の結婚式前日まで仕事をやらせた酷い上司』ってね。何かと準備があるんだろう? 新婦はもう帰りなさい」
「でも……」
「大丈夫だから」
私はため息をついて立ち上がった。
「分かりました……。でも、警部も式には遅刻しないでくださいね」
「ああ、スピーチを任されているからね。ちゃんと出席するよ。ご主人によろしく伝えてくれたまえ」
優しく微笑む警部に私は敬礼をする。
「では、お先に失礼します」
部屋を出ようとドアノブに手をかけ、私はふと自分の左手薬指を見た。
きらめくのは、事件現場とは不釣り合いの大ぶりのダイヤがついたリング。
私は明日から正式な洋館の住人になる。
もう、カラ松さんに淋しい思いなんてさせない。
私がいる。
ずっと、ずっと、彼のそばに。
アパートを出ると、洋館に向かって歩き出す。
日はまだ高く、空は晴れて輝いている。
私と洋館の主人が、無事に結婚式を挙げ、新婚旅行先のラスベガスで、謎の詐欺師と一騎打ちとなり、見事頭脳戦を勝ちぬいて、さらなる巨万の富を得るのはもう少し先のこと。
そう、それはまた別のおはなし――。
―END―
【予告】
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