《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第22章 おそ松END〜なごみ探偵とわたし〜(※)
とある豪邸。
物々しい警備を抜けると、私は現場に張られたバリケードテープをくぐった。
すぐに新人刑事のアイダとサチコが駆けてくる。
「ゆり先輩! お疲れさまです!」
私は敬礼をする。
「お疲れさま。状況は?」
アイダが、手帳を慌ただしく取り出した。
「被害者はこの豪邸の持ち主、石油王。宝石30点と絵画20点が何者かに盗まれたようです」
「へ〜、石油王って、東京に住んでるんだ……」
私がぽつりと呟くと、アイダが「はい?」と聞き返す。
「あ、ううん、何でもない。独り言だから気にしないで。被害者に話は聞けるかな?」
「今、連れてきます」
サチコが部屋を出ていく。
私は周りを見回した。
どこもかしこもきらびやかな豪華な装飾。
机の上にも棚の上にも宝石が所狭しと直に置かれ、壁には教科書で見たことあるような有名な絵画がびっしりと飾られている。
これでは盗んで下さいと言っているようなものだ。
豪華な部屋に圧倒されていると、サチコに連れられて彫りの深い顔の男性がやってきた。
「オマタセシマシタ。石油王デース」
グラスを渡され、石油を注がれる。
私は受け取ったものの、飲む気にもなれず、テーブルにグラスを置いた。
「石油王さん、被害に遭われた時のことを詳しく教えて頂きたいのですが」