《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第4章 ギルトな幽霊は館に潜む
工場のデカパン殺人事件から、五日が過ぎた。
まだ、犯人は捕まっていない。
任意で工員全員の部屋を調べたが、凶器も出てこなかった。
一番疑われているのは、やはり一松さんだ。
昼休みの途中に何をしていたのか。
私たちが尋ねても、一松さんはなぜか頑なに話そうとしなかった。
一松さんのアリバイが欲しい……。
私情を挟んではいけないのは分かっている。
でも、私は一松さんを信じたかった。
「また、仮面の通り魔だ」
チョロ松警部が、デスクに新聞を放り投げた。
『カップル襲われケガ、仮面の通り魔か?』という見出しが踊っている。
外回りから帰ってきたトド松先輩が、荷物を置きながら「へぇ、また出たんだあ」と、さして興味も無さそうに言った。
「先輩、『仮面の通り魔』って何ですか?」
トド松先輩は私の隣に座った。
「よくニュースになっているのに、ゆりちゃんは知らないの? アイスホッケーマスクを被って、赤塚区の公園に出没する通り魔だよ。襲われるのはカップルばかりらしいけどね」
「アイスホッケーマスク?」
「昔のホラー映画でジェイソンが被っていた白い仮面だよ」
「ジェイソン……」
頭の中で何かが閃いた気がした。