《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
下から出てきた顔は――それを顔と呼べるのなら――恐ろしいものだった。
青白く、あるべき場所に何一つパーツが揃っていない。目も鼻も口もなく、あるのは真っ黒な穴だけ。
目のあるはずの場所にただポッカリと開いた穴が、私をじっと見つめる。
仮面の通り魔……。
そして、洋館の……幽霊……?
仮面の主は全身を覆っていた黒い布を勢い良く自身の体から剥ぎ取り、落ちていく私に向かってバサリと投げた。
布が広がり、一瞬で視界が暗くなる。
階段の途中にいたおそ松さんが咄嗟に手を広げる。
背中から落ちた私はそのままおそ松さんの腕の中に飛び込み、その勢いで二人一緒に階段を転げ落ちていった――。